2023 年 58 巻 3 号 p. 99-103
ニジマス養殖における伝染性造血器壊死症(IHN)の被害抑制を目的として,1989年に分離されたIHNウイルス(IHNV)TK8901株を用いた人為感染実験による選抜育種を行った。感染実験の累積死亡率は選抜育種により減少し,第8世代の選抜群は5%以下であった。そこで,2016年に東京都内で認められた病魚から分離されたIHNV株を用いて第9世代に対し感染実験を行ったところ,全てのウイルス株において,対照の非選抜群と比較して有意に低い累積死亡率が認められた。これらの結果は,選抜第8世代以降の交配群はIHN耐性ニジマスとして,IHNVに対する高い抵抗性を獲得したことを示している。