魚病研究
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論文
日本の海産魚類養殖で発生しているLactococcus感染症原因細菌の判別法の開発
荒木 香帆毛利 文香南 隆之西木 一生吉田 照豊
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2024 年 59 巻 2 号 p. 63-70

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抄録

日本の海産魚類養殖におけるLactococcus感染症の原因細菌は血清型および遺伝学的解析によりLactococcus garvieae Ⅰ型,L. formosensis (従来のL. garvieae Ⅱ型) およびL. garvieae Ⅲ型に分類される。各型の判別法として用いられる抗血清によるスライド凝集試験では,複数の抗血清に凝集を示す株の型判別が困難であり,従来のPCRでは,Ⅰ型レンサ球菌とⅢ型レンサ球菌を判別できなかった。本研究では,各型に特異的な遺伝子配列からプライマーを設計し,マルチプレックスPCRによる判別法の開発を試みた。マルチプレックスPCRを実施した結果,各型から予想サイズの増副産物が確認され,海産魚類以外を由来とするLactococcus属細菌からは増副産物は得られなかった。本マルチプレックスPCRは,日本で発生しているレンサ球菌の各型の判別法として有効であることが示された。

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© 2024 日本魚病学会
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