魚病研究
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サルファ剤の魚類に関する研究―III
サルファ剤を連続投与した時のニジマス組織内濃度について
原 武史井上 進一今井 重之吉田 文三
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1966 年 1 巻 1 号 p. 10-14

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抄録

 スルファモノメトキシン,その乳糖10倍散,ソーダ散およびスルファジメトキシン・ソーダ散をニジマスに連続投与して次の結果を得た.1. スルファモノメトキシンの各製剤の組織内濃度は遊離型および乳糖10倍散では高くソーダ散ではかなり低かった.2. 目標とした7mg/dlの血中濃度の持続時間はスルファモノメトキシンの遊離型で72時間,乳糖10倍散で60時間で,ソーダ散では持続できず,魚類にサルファ剤を投薬する場合はソーダ散より遊離型の方が有効であろうと考えられる.3.胆汁濃度は他の組織に比較して非常に高く,スルファモノメトキシン散では血漿の18~20倍,ソーダ散では20倍であり,スルファジメトキシン・ソーダ散では約70倍であった.4. アセチル化率はスルファモノメトキシンの遊離型では血漿で2.5~20.1%,乳糖10倍散で0~13.9%,ソーダ散では2.7~11.2%であり,スルファジメトキシン・ソーダ散では0~5.6%であった.5.〓瘡病に罹病したヤマメ稚魚にスルファモノメトキシンを魚体重kgあたり200mg,100mgを5日間投薬し十分な治療効果を得た.

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