抄録
1. 5種類の培地を用いて穴あき病病魚患部より細菌の分離を試みた。2. 穴あき病患部からコロニーの性状などによって類別できる細菌の群数は,初期病魚よりは中期病魚のほうが多かったが,終期病魚は中期病魚よりやや少なかった。3. 30尾の病魚のうち10尾以上の病魚に共通してみられた16株について接種実験を行なったところ,9株に病原性が認められた。4. 生化学的性状検査などの結果それらはPseudomonas,Aeromonas hydrophila, Moraxella, Citrobacter, Flexibacter columnarisに分類された。5. それらのうちAeromonas hydrophila(U4株)は皮下および筋肉注射により,皮膚の腫れおよび充血が軽く且つ顕著な潰瘍を起した。この菌は病魚の筋肉の壊死融解の主役をなしていると考えられた。