魚病研究
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ニホンウナギのEdwardsiella tarda感染症の病理組織学的研究―I.
自然感染―化膿性造血組織炎型
宮崎 照雄江草 周三
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1976 年 11 巻 1 号 p. 33-43

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抄録

 1)養殖ニホンウナギのEdwardsiella tarda感染症を病理組織学的に検討し,その結果,本菌感染症には造血組織炎型と肝炎型の二種の発現型があることがわかった。本報では造血組織炎型の詳細を記述した。2) 病理組織学検討の結果,腎臓の造血組織での発病は,細菌を呑食した好中球が類洞に移動し,そこに好中球の浸潤を伴う病巣が出現することにあった。微小感染が生じた類洞を中心に細菌の増殖とひきつづく好中球の浸潤集合によって大きな膿瘍病巣が現われていた。そして膿瘍病巣の軟化融解によって激しい細菌増殖と病巣の拡大が起り,敗血病巣または潰瘍病巣に進展していた。3)全身感染が成立した段階で他の組織器官に転移病巣が現われていた。また腎臓の潰瘍病巣に接した躯幹筋組織に化膿病巣が生じ,軟化融解とともに穿孔形成へと進んでいることもあった。4) 以上の病理組織学的所見から,本菌の感染病巣の炎症反応は化膿性炎で,病状は膿血症で特徴づけられた。

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