魚病研究
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養殖アユのビブリオ病に対するトリメトプリムの化学療法学的研究―II
トリメトプリム・スルファドキシン合剤を経口投与したときの組織内濃度について
佐古 浩楠田 理一太幡 利一
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1979 年 14 巻 2 号 p. 65-70

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抄録
 アユにTMPとSAの合剤を経口投与したときの,アユ体内でのTMPおよびSAの吸収,排泄および残留性について試験をおこない,次の結果を得た。1.アユにTMPとSDXの合剤(1:5)を純末総和換算で30mg/kgの投与量となるように餌料のクランブルに吸着させ,1回だけ自由摂餌投与したところ,各組織中におけるTMPの最高濃度値は肝臓では2時間後に10.8mcg/g,腎臓では6時間後に4.4 mcg/g,筋肉では,2,3時間後に1.8 mcg/g,血液では1時間後に0.4 mcg/mlであった。 SDXについては各組織とも1時間後に最高濃度を示し,肝臓では2.2mcg/g,腎臓では,2.6mcg/g,筋肉では2.7 mcg/g,血液では5.8 mcg/mlであった。また,各組織中でのTMPとSDXの比率(SDX/TMP)は時間および組織ごとに異なった。2. アユにTMPとSDXの合剤(1:5)を純末総和換算で30mg/kg/dayの投与量となるように餌料のクランブルに吸着させ,1日1回10日間連続投与したところ,TMPは肝臓では24時間後,腎臓,筋肉では48時間後,血液と脾臓では6時間後には定量限界以下となった。SDXについては肝臓,腎臓,筋肉では24時間後,血液と脾臓では12時間後には定量限界以下となった。
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© 日本魚病学会
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