抄録
1. 1980年7月から10月にかけて,栃木県下の養殖アユに流行した連鎖球菌感染症の原因菌を分離しその性状を調べた。2. その結果,本菌はグラム陽性の連鎖球菌で10℃,45℃,6.5%NaCl, pH 9.6および0.1%メチレンブルーミルクに発育せずにアルギニンからアンモニアを産生しβ溶血を示すことからBergey's manual第8版(BUCHANAN and GIBBONS,1974)の第Iのグループに包含され,また馬尿酸ナトリウムを加水分解しないことからAのグループに包含された。3. しかし,詳細な検討結果から分離菌株は現段階ではgenus Streptococcusのどのspeciesにも同定し得ないと考えられる。