魚病研究
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ウナギのプリストホラ症に関する研究―I
実験的感染法の検討とフマジリンの効果について
加納 照正福井 晴朗
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1982 年 16 巻 4 号 p. 193-200

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抄録
 P. anguillarum胞子を配合飼料に混合してウナギ稚魚に経口投与するか,あるいは胞子液に魚体を浸漬した結果,両者ともに感染が成立し実験的にべこ病を作出することができた。感染魚は胞子投与後20日頃から顕微鏡観察により躯幹筋にシストが認められ,25日頃には自然感染魚に見られる白斑病変が体表に形成された。その白斑病変は経口感染魚では腹部躯幹筋に限られ形成されたが,浸漬感染魚では躯幹筋全体に不規則に散在した。感染率は水温の影響をうけ,低水温下ではP. anguillarumの感染あるいは発育が抑制されることがわかった。これら経口または浸漬感染魚に感染直後よりフマジリン250mg力価/kg魚体重/日を30日間連続経口投与,もしくは浸漬感染魚を感染5日後まで60.5ppm水溶液中で薬浴したところ,シストの形成は何れにおいても認められず,フマジリンがP. anguillarum感染の予防に極めて有効であることがわかった。
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© 日本魚病学会
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