抄録
P.anguillarum実験的感染ウナギを使用し感染予防薬としてのフマジリンの効果的な投薬法について検討した。(1)感染直後からフマジリンを1.8~64.0mg力価/kg魚体重/日の投薬量,5~90日間の投薬期間の範囲で投薬した結果,投薬終了時に感染率が15%以下となる最少投薬量は5mgであり,投薬期間は投薬量5mgで少なくとも60日間,7.2~14.4mgで30日間,50 mgで20日間必要であった。また,50mgは間欠投薬として5日間隔で4回繰返した場合も効果がみられた。(2) 感染後5日以上経過してから投薬を開始した場合,いずれの投薬方法においても感染直後から投薬した場合よりもフマジリンの効果は劣っていた。また,投薬終了後,時間の経過とともに感染率,発症率とも上昇する傾向が認められた。(3) 発症魚にフマジリンを投薬した場合,投薬中は症状の回復がみられたが,投薬終了後の発症率は再び高くなった。同居感染において,健康魚への感染の伝播が高率に起こったが,同居開始時からフマジリン7.2mgを連続投薬することにより感染の伝播は完全に阻止された。(4) 水温13~14°の低水温下で感染させ飼育した群は,感染後かなり時間が経過していても水温上昇とともにフマジリンを投薬すれば,べこ病の発症は極めて低く抑えられた。これらの実験結果をもとにフマジリンの作用機作,実用性について考察した。