抄録
1980年冬に, 屋内温水飼育池で養殖中のテラピア(Sarotherodon niloticus)にStreptococcus sp. 感染症が発生した。本研究では病魚の外見像, 解剖所見および病理組織について検索した。その結果, 外見像は皮内出血, 眼球突出, 解剖所見は心外膜炎, 腹水貯留, 腹膜炎, 肝臓の褪色, 脾腫でそれぞれ特徴づけられた。病理組織学的には, 眼球突出を呈する眼部病巣では眼窩に膿瘍や肉芽腫の形成がみられた。心外膜, 腹膜, 肝臓と脾臓の被膜, 生殖巣, 脳などの患部にはマクロファージの浸潤と細菌貧食および肉芽腫形成がそれぞれみられた。