抄録
東京水試奥多摩分場で種苗生産された一群のヤマメを材料魚とし, 鰓弁に寄生する単生類のテトラオンクス (T. awakurai と T. oncorhynchi) を調査した。オンコミラキジウムの宿主への侵入は水温が10℃以上になる春から秋にみられた。両種の寄生はともに明確な季節変化を示した。秋から冬における寄生率・寄生数の低下は宿主による寄生虫の排除によるものと考えられた。両種の寄生虫の間には明確な相互関係は認め難かった。両種の寄生レベルは年によって大きく変動した。寄生虫対策について若干の議論を加えた。