魚病研究
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ブリ連鎖球菌Streptococcus sp.に対するマクロライド系抗生物質およびリンコマイシンの試験管内作用
楠田 理一鬼崎 忍
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1985 年 20 巻 4 号 p. 453-457

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抄録

 マクロライドおよびリンコマイシン系抗生物質のうち,現在ブリ連鎖球菌症の治療薬として使用されているエリスロマイシン(EM)およびスピラマイシン(SPM)と,水産用医薬品として認可されていないジョサマイシン(JM),タイロシン(TL)およびリンコマイシン(LCM)の5薬剤を用いて,本症原因菌Streptococcus sp.に対する試験管内における抗菌力,殺菌力および耐性獲得率を調査し,以下の結果を得た。1. 供試5薬剤の本菌に対するMICは0.0125~1.56μg/mlで,EM, LCM, JM, SPM, TLの順に高い感受性を示した。2. 供試5薬剤の殺菌作用は弱く,低濃度ではいずれも静菌的に作用した。しかし,各薬剤とも高濃度においては多少の殺菌作用が認められ,薬剤を含む液体培地中の菌数は経時的に減少し,72~96時間後には初発菌数の1/103以下になった。3. 供試5薬剤に対する本菌の耐性獲得率は32~500倍で,クロラムフェニコールやドキシサイクリンに比べて高く,しかも耐性化が早い傾向が認められた。

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