魚病研究
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魚類のビブリオ病原因菌の分類学的研究
分子生物学的分類法による検討
田島 研一絵面 良男木村 喬久
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1986 年 21 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

 前報(田島ら,1985b)の数値分類において群別された各phenon内の均質性あるいは各phenon間および群を形成しなかった菌群との類縁性を分子生物学的レベルから検討した結果,1.DNA塩基組成比(GC moles%)は前報(田島ら,1985b)においてV. anguillarumと同定されたphenon IをはじめVibrio属に同定された菌株はすべて43.1~46.6%の範囲の値を示し,いずれもVibrio属に包含せしめ得ることの妥当性が裏付けられた。2.DNA相同性により類縁関係を検討した結果,phenon IおよびIIの基準株はそれぞれのphenonに対しては高い相同性を示すが,他のphenon III, IVおよびVに対しては相同性がほとんどみられず,また群非形成菌株に対しても1株(V-178)を除きB.campbelliiとL.harveyiに僅かに相同性がみられる程度で,これらphenonおよび群非形成菌株はphenon IおよびIIに対する類縁関係はほとんどないものと推察された。3.phenon IとIIとの関係については,前報(田島ら,1985b)の数値分類の結果では両者は明らかに別種と考えられたが,DNA相同性の結果からは両者は完全に別種と考えられず,むしろより近縁な菌群であろうと思われた。

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