抄録
A.hydrophila A 10株を筋肉接種され瀕死状態にあるコイの注射局所から, 生菌接種の場合と同様に注射部位の膨隆や体表の発赤を起こす物質が抽出された。抽出物質の部分精製を行った結果, 毒性に関与していると思われる溶血素が含まれていることがわかった。この溶血素は4℃ではpH4.0~11.2で安定であり, 53℃10分の加熱で失活した。また EDTA, トリプシン, パパインなどで阻害された。またウサギ赤血球を不完全(α型)溶血することから, 本菌株が培地中に産生するβ溶血素(完全溶血)とは異なる物質であることが判明した。