1987 年 22 巻 4 号 p. 185-189
ウナギにクエン酸鉄アンモニウムを筋注し(10μg/g), その後 V.anguillarum 感染を図ると, 菌の LD50 値は10 7.9から10 4.2CFU/100gにまで低下した。同様の現象は FeSO4 およびクエン酸を加えた FeCl3 の接種によっても認められ, 体内における過剰な鉄の存在は V.auguillarum の病原性を著しく高めることが確かめられた。しかし, V.auguillarum に対するアユの感受性は鉄化合物を接種されても殆んど変化しなかった。ウナギ血清における菌の増殖は鉄化合物の添加により著しく促進されたのに対し, アユ血清では鉄の添加に関係なく十分な増殖が認められた。