抄録
菌液の強い攪拌と弱い超音波処理によって菌体から解離させたF.branchiophilanoの線毛を, 遠心, 透析, 濃縮などの中間処理を行ったのち, イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。精製された線毛は, 電顕観察で菌体付着時と同様の形態を保持していた。また, 典型的なタンパク質のUV吸収曲線を示した。その分子量はSDS-PAGEにより23, 000と推定され, アミノ酸組成は既報の線毛と類似していた。この線毛を構成するタンパクは, 抗血清を用いたゲル内沈降反応で一本の沈降線が互いに癒合したことから, 本菌の各菌株に共通であることが分った