抄録
1988年6~8月に三重県沿岸で採捕したボラに, 背鰭湾と側湾を主徴とする脊椎骨の骨格異常を呈するものが4例みられた。それら全ての腸間膜と脳, 一部の肝臓, 膵臓, 脾臓に粘液胞子虫, Myxobolus属の胞子のシストがみられた。脳のシストの形成部位は第4脳室, 中脳腔および嗅葉, 嗅球, 視葉の脳膜下であった。本種と既報の魚類に寄生する粘液胞子虫とを比較検討した結果, 形態学的特徴などからいずれの種とも異なり, Myxobolus spinacurvatura sp. n.と命名することを提案する。