抄録
本発表は、『子どもたちの生きるアフリカ 伝統と開発がせめぎあう大地で』(2017)の狙いの一つである、アフリカの子どもに付与されたネガティブなイメージの払しょくを目指し、ブルキナファソのストリート・チルドレンの移動を事例として取り上げる。ブルキナファソのストリート・チルドレンと呼ばれる子どもたちが都市に滞留するのは、クルアーン学校の移動に伴うものや、季節ごとにストリート-家庭を往還するものなど、その移動の様態はいくつものパターンをもつ。NGOらによって非社会的・非標準的と位置づけられるストリート・チルドレンの移動様態を見れば、これらの評価が西欧的価値観に基づいたものであることは明らかである。こうした事例に基づき、アフリカの子どもの理解のため、詳細な記述による子どもたちの生活、育ちと彼らを取り巻く環境の双方の相対化の重要性を論じていく。