魚病研究
Online ISSN : 1881-7335
Print ISSN : 0388-788X
ISSN-L : 0388-788X
ニホンウナギのパラコロ病の実験感染に関する研究
ニホンウナギのEdwardsiella tarda感染症の病理組織学的研究―IV
宮崎 照雄Miguel A. Gutierrez田中 真二
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 27 巻 1 号 p. 39-47

詳細
抄録
 ニホンウナギの大型魚におけるE.tardaの人工感染方法を確立する目的で, 以下の方法で感染実験を行なった。すなわち, 肛門から腸管に外径1mmのシリコンチューブを3~5cm挿入し, 30%過酸化水素水の0.05~0.1mlを腸管内に注入して腸管に障害を与え, 18時間後に培養細菌を含むウナギ用配合飼料をゾンデで胃内に強制投与した。投与菌量は1尾あたり2.6×10 4CFU~8.4×10 7CFUの間の9段階に設定した。投与後, 実験魚の発病状況を観察し, また, 瀕死状態に陥った魚の腎臓, 肝臓, その他の器官の病理組織学的観察を行ない, 以下の結果を得た。 1. 1尾あたりの投与菌量が10 4CFUレベルから10 6CFUの下位レベルでは, 実験魚は5日以降に瀕死から発死に至り, 肝膿瘍か腎膿瘍を発現していた。その病魚の病理組織学的特徴は自然発病魚の特徴とほぼ同じであった。 2. 1尾あたりの投与菌量が8×10 6CFUから8×10 7CFUの高レベルでは腸管障害部での細菌増殖から全身感染に進展して急性に発病・斃死に到る急性例が多かった。
著者関連情報
© 日本魚病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top