抄録
養殖ブリに発生する“黄疸症”について、血液学的ならびに細菌学的に原因を調べたところ、いずれの病魚の血液塗抹標本においてもギムザ染色液に染まる長さ4~6μmの桿状微生物が観察された。8種類の培地を用いてその分離を試みた結果、FCSを10%添加したL-15培地で増殖が認められた。走査型および透過型電顕による観察から、この微生物は細菌の一種であることが分かった。10%FCS添加L-15培地で培養した本菌をブリ稚魚に実験的に接種すると、自然発病魚と同様の黄疸症状が再現され、本菌が“黄疸症”の原因であることが判明した。