2003 年 38 巻 4 号 p. 125-136
サケ科魚類の旋回病の原因となるMyxobolus cerebralisにおいて, 粘液胞子虫世代と放線胞子虫世代が交番する二相性生活環が発見されて以来, 魚類に寄生するミクソゾアの研究は飛躍的に進展した。分子系統解析によりミクソゾアは原生動物ではなく後生動物であることが解明され, 分類学が再整理されつつある。一方, 生物学的, 病理学的には未知の点も多いことが有効な感染防除対策の確立を困難にしている。最近の研究動向として, 耐病性系群の導入と貧毛類の制御法の開発が注目されている。