抄録
2001年春に養殖クロソイ(体重138~145g)に大量死が発生した。病理組織学的にグラム陰性桿菌が鰓に侵襲し, 鰓薄板の上皮の剥離と毛細血管に細菌寒栓が見られた。これらの病変を示す鰓弁は上皮増生による棍棒化が起こり, 鰓薄板の動脈瘤の形成, 増生した上皮細胞の壊死および出血が見られた。病魚のなかには腎臓, 脾臓, 心臓にも鰓と類似のグラム陰性桿菌が侵入していた個体もあったが, 感染病巣は軽度であった。以上から, 本疾病は鰓の病変が主病変と判断された。しかし, 病魚の肝臓, 腎臓, 脾臓および脳から細菌は分離されなかった。