抄録
1) 1967年9月より1968年11月まで11回にわたり生魚によって飼育されたウナギを主材料として,その絶食時の腸内細菌を調べた。2) 腸管内壁一定面積を普通寒天培地に塗抹し大まかな細菌量を調べる方法と,増菌培地に投入して細菌の存否を調べる方法をあわせて用いた。3) 絶食数日後ですでに腸内の細菌量はきわめて少なかった。1968年の調査では常に絶食日数が延びるにつれて腸内は無菌に近い状態になった。しかし1967年の成績はそれとは違っていた。4) 分離菌株の大部分はPseudomonas, Vibrio, Flavobacterium, Aeromonas, AchromobacterAlcaligenesに属するものであった。5) 出現した属・群には個有の季節変化が見られ,腸内常在細菌は認められなかった。6) 病原性の認められたものはAeromonas属に含まれるものだけであった。