魚病研究
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ウグイおよびカワムツの稚魚に発生した全身性多発性結節症
舟橋 紀男宮崎 照雄窪田 三朗富永 正雄塩瀬 淳也
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1973 年 8 巻 1 号 p. 55-63

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抄録

 1972年8月以降10月初旬にかけて長野県水産指導所佐久支所のコンクリート製養魚池に飼育中のウグイおよびカワムツの稚魚の躯幹部から尾柄部にかけて腫瘍に類似した結節が生じ,体形が変形した。病理組織学的検索の結果,下記に要約する結果を得た。1.結節は全身の諸臓器ならびに各組織に多発していた。2.最も高度の変化は腎で,次いで躯幹後部から尾柄部にわたる体側筋であった。この結節の原発部位は腎臓の糸球体と推測された。3.体形の変形は結節自体による脊椎の圧迫変形と,結節周囲細胞反応による椎体の変形によった。4.この結節は特異性炎の特徴を示したが,膠原線維の形成は認められなかった。また,細菌染色として,パッペンハイム氏2重染色の他,グラム染色,好酸菌染色およびスピロへータ染色の計6種類の染色をしたが,いずれも陰性であった。5.以上の結果,本症に対して全身性多発性結節症と仮称した。6.以上の所見について若干考察を加えた。

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