魚病研究
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養殖サケ科魚類由来細菌の薬剤耐性とR因子の研究
II.ニジマス(Salmo gairdneri f. irideus)
青木 宙渡辺 力
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1973 年 8 巻 1 号 p. 83-90

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抄録
 1970年12月より1971年6月にかけて東京都奥多摩,静岡県富士宮および長野県明科地区の養鱒場の池水およびニジマスの腸管より耐性菌を分離し,それらの薬剤感受性,R因子による耐性菌かどうか,さらに検出されたR因子の耐性パターン,fiタイプについて検討した。(1) 薬剤耐性グラム陰性桿菌は,すべての養鱒場の池水およびニジマスの腸管より検出された。(2) 耐性菌の出現率は養鱒場によって相違するが池水および腸管の出現率は,それぞれCM耐性菌では7.9%および1.5%,TC耐性菌では5.0%および22.1%であった。(3) R因子による耐性菌の出現頻度はきわめて低く,188株中4株,2.1%にとどまった。(4) ニジマスの養殖池水および腸管より分離された耐性菌は,Achromobacter, Aeromonacs liquefaciens,Citrobacter, Enterobacter aerogenes, E. cloacae, Hafnia, Pseudomonas, Vibrio,未同定の腸内細菌で,腸内細菌類の占める割合が高かった。これらの耐性菌のうち Citrobacter, E. aerogenes, E.cloacaeからの4株からの因子が検出された。(5) 検出されたR因子の耐性マーカーはSA・SM・TC耐性でfi-タイプであった。
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© 日本魚病学会
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