魚病研究
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魚類におよぼす赤潮の影響について―I
ハマチSeriola quinqueradiata TEMMINCK et SCHLEGELにおよぼすムカシウミミドリムシ Hemieutreptia antiqua HADAの影響について
高山 晴義大内 晟難波 憲二村地 四郎
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1974 年 8 巻 2 号 p. 119-126

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抄録

 ムカシウミミドリムシHemieutreptia antiqeca HADAを培養し,人工の赤潮を作り,ハマチをへい死させる実験観察をし,併行して水質検査,血液検査を行なって,つぎの結果を得た。 1) ムカシウミミドリムシの虫体数が,約500cell/ccでも,ハマチの一部にへい死がみられ,1,000 cells/cc以上に達すると,その影響は極めて顕著となる。 2) 大形のハマチの方が,小形のハマチより害を受け易い。 3) ムカシウミミドリムシ赤潮によるハマチのへい死原因として,溶存酸素の不足はほとんど考えられない。 4) この赤潮によるへい死魚の鰓には,ムカシウミミドリムシが付着しているのが観察され,付着したムカシウミミドリムシがハマチに何らかの影響を与えているものと推察される。 5) ムカシウミミドリムシ培養水のmetaboliteの影響は認められなかった。 6) ムカシウミミドリムシを粉砕すると,ハマチのへい死はまったく発生しなかった。 7) 血液検査の結果,この赤潮によるへい死魚と溶存酸素欠乏でへい死した魚には,かなりの相異が認められた。

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