抄録
73年1月から5月にかけて愛知県下のアユ養殖場に従来と臨床的に相違すると思われるビブリオ病が流行し,業界に甚大な被害を与えた。病魚からの分離菌による復元実験,野外養殖池での投薬試験を行なったところ,次の結果を得た。 1.復元実験は筋肉内接種,表皮塗布,腹腔内接種,経口投与について行なった。筋肉内接種,腹腔内接種では,48時間以内に全例へい死する。表皮塗布による症状は自然症例に酷似し,5日以内に全例へい死した。また経口投与では外見上全く異常が認められなかった。 2.臨床的および実験的観察より,本病は採捕後経皮的に感染,発症したものと思われ,病原性が極めて強いことが推察された。 3.抗生物質,サルファ剤等でも治癒効果が認められないことより,薬剤耐性菌の疑いが持たれた。