家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
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家族性肥厚性皮膚角化症・食道癌症候群(TOC)の原因遺伝子
田村 和朗 金 相赫喜多 瑞穂石川 真澄伊田 和史鵜飼 篤史
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 13 巻 1 号 p. 32-34

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抄録
家族性肥厚性皮膚角化症・食道癌症候群(TOC)/ Howel-Evans 症候群は常染色体性優性遺伝性疾患で,掌蹠角化症,口腔内白板症,食道癌のハイリスク群として知られている.これまでの研究を通してTOC の原因遺伝子の座位は17q25.1–q25.2 に絞り込まれていた.2012 年,シークエンスキャプチャーアレイ技術を用い,本症家系の患者にRHBDF2 遺伝子のミスセンス変異が検出された.RHBDF2 はrhomboid と呼ばれる7 回膜貫通型タンパクに属するが,その機能はまだ未解明の部分が多い.現在のところEGF シグナル伝達系を標的とし,その活性を制御していると考えられている.変異RHBDF2 タンパクは機能を獲得しており(gain-of function),細胞内のEGFRシグナル伝達を維持することで過剰増殖につながると考えられている.さらにTOC 患者では制御を欠いた創の修復が食道など上部消化管の上皮に前癌病変を発生させるとの仮説が報告された.TOC のみならず散発性食道癌においても同様の生物学的特性が観察されたことから,現在行われているEGFR を標的とした治療薬に抵抗性を示すことも懸念され,今後,RHBDF2 による制御伝達系を標的とする新たな治療薬の開発が期待される.
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© 2013 The Japanese Society for Familial Tumors
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