抄録
日本での遺伝性乳がん・卵巣がんに関する調査は,欧米やアジアの中でもすでに大幅な後れをとっている.しかし,海外でのデータを詳細に検証することで,遅れてスタートすることが効率の面からは逆に利点と捉えることもできる.そして,解決すべき問題がピンポイントに見えてきていることも事実である.欧米ではハイリスク症例に対してすいでにMRI スクリーニングが推奨されている.日本においてもBRCA1 およびBRCA2 変異陽性症例(ハイリスク症例)に対するMRI スクリーニングの有用性の検証が必須であることを認識した上で,MRI 以外の新たな画像診断技術を付加することの可能性を検討する必要がある.さらに,MRI ガイド下生検や乳房MRI の読影方法の教育も急務である.