家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:遺伝性乳がん卵巣がんの現状−問題点と展望
BRCA1/2 遺伝子変異保有者におけるリスク低減両側卵巣卵管切除術の実施(第1報)
新井 正美岩瀬 春子岩瀬 拓士古田 玲子本山 悌一石川 雄一芦原 有美喜多 瑞穂滝澤 憲竹島 信宏
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 13 巻 2 号 p. 52-58

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抄録
BRCA1 あるいはBRCA2 に病的変異を有する遺伝性乳癌卵巣癌 (HBOC)では,乳癌および卵巣癌の生涯罹患リスクがそれぞれ45 〜65%,11 〜39 %と高いため,これらの癌への対策が必要である.わが国では,これまでほとんどのHBOC 症例に対して計画的なサーベイランスが行われてきた.一方,海外ではこのほかにリスク低減のための予防的外科治療も実施されている.リスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)は卵巣癌のみならず,乳癌の発症予防効果も認められている.さらに総死亡率の低下も報告されていることから,わが国でも選択肢の一つとして実施可能な体制を整備することが望まれる.今回,当院でRRSO を実施するに当たり,院内ワーキンググループでの検討から,長期生命予後および有害事象の有無を評価する臨床試験として実施することで,施設内倫理審査委員会で承認を受け体制を整えた.今後,RRSO の先進医療の申請を検討している.
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© 2013 The Japanese Society for Familial Tumors
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