抄録
症例は28 歳の男性で,13 歳時にPeutz-Jeghers 症候群(PJS)と診断され,以降定期的に消化管のサーベイランスを行ってきた.内視鏡検査で①前庭部小彎に約30㎜大の0-I 型病変,②胃体下部大彎に約25㎜大の0-Ⅰ型病変を認めた.両病変ともに狭帯域光併用拡大内視鏡観察や生検で悪性所見を認めなかったが,増大傾向にあることから,内視鏡的粘膜下層剥離術により一括切除した.病理組織学的検査では,病変①の表面は過誤腫成分のみであったが,内部は過誤腫成分に腺癌の成分が混在していた.また,病変②の表面は過誤腫成分と腺癌の成分が混在していた.以上より,両病変ともPeutz-Jeghers ポリープ(PJ ポリープ)に発生した腺癌と診断した.PJS の胃のPJ ポリープに発生する胃癌は,生検で癌の診断が困難な場合があるため,増大傾向で特に腫瘍径が20㎜を超える場合には,内視鏡的切除を考慮するべきと考える.