家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
解説
フィンランドにおけるゲノム医療関連政策の動向
中田 はる佳 高島 響子吉田 幸恵永井 亜貴子平沢 晃
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 18 巻 2 号 p. 42-47

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抄録

日本の状況に合わせた遺伝情報を含めた医療情報の利活用を支える法的・社会的基盤を整備するためには,まず医療情報の利活用先進国における,それらに関連する政策動向を明らかにすることが重要である.本研究では,がんゲノム医療との関連を見据えつつ,医療情報の利活用が進むフィンランドを参考として,日本で検討すべき課題を抽出し,今後の方針を検討することを目的として現地調査を行った.中でも,ゲノム法や社会健康情報の二次利用に関する法制定準備,FinnGen プロジェクトなどが注目すべき事項であった.日本への示唆として,既存の研究基盤の再活用,医療情報の二次利用を適正化するためのバイオバンク同意の積極的な活用と法的裏付けの検討,医療と研究の試料・情報を結び付けるID 制度の仕組みなどが挙げられた.今後,がんゲノム医療の実装が進められている米国の状況なども調査し,日本のがんゲノム医療に資する法的・社会的基盤を検討していく必要がある.

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© 2018 The Japanese Society for Familial Tumors
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