抄録
腫瘍性病変を発生する結節性硬化症にはTSC1とTSC2という二つの原因遺伝子が知られている.これらはとも に腫瘍抑制遺伝子としての役割を果たしている.それらの産物(hamartinおよびtuberin)が持つ生理活性について はまだよくわかっていないが.両者は複合体を形成し機能を発揮すると考えられている.ここ一年の間に両者がmTORを介してS6キナーゼの活性を負に制御していることか明らかにされてきた.S6キナーゼが関わるシグナル 伝達系がどのように腫瘍発生に関わるのかを含め,今後hamartinとtuberinの持つ機能および結節性硬化症の病態 発生の分子機序が明らかにされていくであろう.