家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
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3 巻, 1 号
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巻頭言
特集:家族性腫瘍診療体制
  • 湯浅 保仁
    2003 年3 巻1 号 p. 3-
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 古山 順—
    2003 年3 巻1 号 p. 4-11
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国の遠伝カウンセリング体制の現状について述べた. 従来からわが国の遠伝カウンセリングは医師が担当して 現在に至っている. 本邦における遺伝カウンセリングの在り方の検討結果、 遺伝カウンセリングを担当できる医師の資格, 認定直伝カウンセラー制度の現状についてさらに遺伝カウンセリングにとって不可欠な遺伝医療情報・資源に関する現状を解説した.
  • 宇都宮 譲ニ
    2003 年3 巻1 号 p. 12-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    家族性腫瘍Aの研究は癌研究の突破口となり21世紀型新医療バラダイムヘの道を開いた. そこではそれは遺伝的体質(SN Ps)と生活習慣相問バイオインフォマティクスに茎づ<個別化予知予防医療である. そこでは家系登録システムは癌のみならず大部分の生活習慣病の予防対策には不可欠基本的な研究と診療インフラである . 米国では 1995年NCIが乳癌と大腸癌に関してCooperativeFamily Registry for Cancer (CFR)を研究インフラとして立上げ5年間でその有用性が証明された. それは協同運用 、 多領域研究対応で、 生体資料保存と生活習慣情報収集を重視するシステムである. プロスペクティブ計画であるから透明性ある IC 取得でイ合理的にも安全である. これは, より普遍的実用的な家族性腫瘍Bの新しい研究的登録システムといえる. わが国の選択肢の一つとして一部の地域が CFRに参加して交流を通して学び新医療インフラを国家的施策として取り上げことが望まれる. ー方, FAP等家族 性腫瘍Aの診療ガイドラインとサーベーランスシステムの整備も実行するべきである.
  • 金子 聰
    2003 年3 巻1 号 p. 18-21
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    2002年6月,疫学研究に関する倫理指針が厚生労慟省・文部科学省から公布され,がん登録における倫理,とりわけ個人情報の取り扱いについて,一定の甚準ができつつある.地域がん登録事業については.運用が府県単位であることや個人情報が不可欠であることから、疫学研究の倫理指針の適応外とはされているものの`倫理指針に則した運用が望まれている.また,院内がん翌鋒.臓器がん登録に関しては,中央集計時に匿名化を施し,個人情報を施設外に提供することをしなければ,運用に問題はないが,個人情報を用い集計する場合は、登録に参加する施設における倫理審査が必要である.遺伝性腫瘍の登録については,登録する内容に研究段階と判断されている造伝子変異情報が含まれる場合,ヒトゲノム・達伝子解析研究の倫理指針(3省合同の倫理指針)の適応となる.ー方.既に診療に生かされることが医学的に証明されている遺伝子検査結果を登録する場合は.3省合同の倫理指針の除外規定に含まれるため,疫学研究に関する倫理指針に従う必要がある.いずれにせよ,匿名化のみの登録では,長期にわたり登録を運用するためには,謎続的に増えてゆく家系情報を登録できなくなる可能性がある.今後.個人情報を用いた登録を行う場合は,そのセキュリティ確保のための方策の検討.もしくは秘匿化による登録など,検討する必要 がある.
  • 水谷 雅彦
    2003 年3 巻1 号 p. 22-25
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
総説
  • 加藤 規弘, 笹月 健彦
    2003 年3 巻1 号 p. 26-29
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    多因子疾思の発症と進展は,遺伝要因と非遺伝要因(環境要因)との複雑な相互作用によって規定されると考えられる.「多因子疾患の遺伝子解析研究をいかに効率的に進めて疾患感受性遺伝子同定にたどりつくか」という命題に関して,平成13年11月,国家プロジェクト(ミレニアム・ゲノムプロジェクト)に携わる研究者が集まって「箱根山シンポジウム」を開催した.大きく三つのテーマー研究のデザインと統計解析.遺伝子解析の現状,疾患遺伝子 同定とcausalityを証明するためのポストゲノム戦略ーに関して,海外から4名,国内から15名の先泣的研究者が発表したその討論を通じて,①多因子疾患の遺伝子解析に適切なサンプル,②望ましい研究デザイン,③遺伝的 多様性および人種的多様性,④遺伝子解析の限界`の4点がクローズアップされた.そして「自分たちが現在,ど のような状況にあるのがそしてどのような方向にこれから研究を進めようとしているのか」を参加した研究者一同が認識できた点で有意義であったと思われる.
  • 小杉 眞司, 野水 整, 小原 孝男, 金子 明博, 吉田 輝彦, 執印 太郎, 大塚 藤男, 石川 秀樹, 富和 清隆
    2003 年3 巻1 号 p. 30-33
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小林 敏之, 樋野 興夫
    2003 年3 巻1 号 p. 34-39
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    腫瘍性病変を発生する結節性硬化症にはTSC1とTSC2という二つの原因遺伝子が知られている.これらはとも に腫瘍抑制遺伝子としての役割を果たしている.それらの産物(hamartinおよびtuberin)が持つ生理活性について はまだよくわかっていないが.両者は複合体を形成し機能を発揮すると考えられている.ここ一年の間に両者がmTORを介してS6キナーゼの活性を負に制御していることか明らかにされてきた.S6キナーゼが関わるシグナル 伝達系がどのように腫瘍発生に関わるのかを含め,今後hamartinとtuberinの持つ機能および結節性硬化症の病態 発生の分子機序が明らかにされていくであろう.
  • Yoshio Nukaga, Joji Utsunomiya
    2003 年3 巻1 号 p. 40-44
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    This study reviews the development of family registries and identifies the current conditions of the infrastructure for familial colon cancer registries in the United States and Japan. The research focuses on the different courses of development and organization of family registries in the two settings. The methodology is based on content analysis of historical and interview data. The findings show that family registries in the United States have developed through cooperative work that includes not only the National Cancer lnstitute's program for cooperative agreement but also three working bodies for multi-research projects with internal regulations. In contrast, Japanese registries have relied on investigator-oriented research funding for specific diseases, leading to fewer common research platforms among different practitioners and fewer systematic procedural regulations and guidelines.
症例報告
  • 岩間 毅夫, 佐藤 隆宣, 星野 直明, 岩崎 晃, 松崎 淳, 小屋松 安子, 室谷 哲弥
    2003 年3 巻1 号 p. 45-47
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    症例は22歳, 女性. Peutz-Jeghers症候群(PJS)の診断で加療中 , 18F-deoxyglucose positron emission tomography (FOG-PET)で上行結腸に取り込みを認めた. 大腸内視鏡で上行結腸に径3cmの有茎性ポリ ープを認め切除した. 病理組織は過誤腫であった. 一般にFOG-PET陽性の腫瘍は怠であることが疑われる. この症例においては, PJS の過誤腫性ポリ ープでも陽性所見が出ることが示された. すなわちそれに対する一つの診断方法として使用できる可能性を示すとともにPET陽性でも瘍でない場合もありうることに注意すべきである.
  • 金田 真理, 今井 克美, 平山 榕子, 樋野 興夫, 板見 智, 吉川 邦彦
    2003 年3 巻1 号 p. 48-51
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    結節性硬化症は全身の過誤腫を特徴とする常染色体優性迫伝性の疾患で,近年その原因遺伝子TSC1,TSC2が染色1本の9番16番上に同定された.これらの遠伝子産物であるhamartinとtuberinは全く異なったタンバク質であり`これら個々の作用についても報告されつつある.しかしながら,これら異なった原因遥伝子によって弓Iき起こされるTSC1(結節性硬化症1型)とTSC2(結節性硬化症2型)を臨床的に区別することはできないと考えられて きた.最近になって,TSC1,TSC2の臨床症状の特徴か示唆されだしてきている.今回我々は,TSC1に異常が確認 できた結節性硬化症の孤発例を経験した.本症例は`三つ以上の白斑、シャグリンパッチ(結合織母斑)および cortical tuberと結節性硬化症の診断基準の大症状を二つ以上満足する典型的な症例で,家族全員の遺伝子検査を施行した結果患者のみに,TSC1のexon17に2bpのdeletion(del 211 ON2)が認められ,TSC1の孤発例と確定診断できた.
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