家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
総説
遺伝性非ポリポーシス大腸癌の大腸多発癌に対する治療法の選択
田中屋 宏爾 竹内 仁司安井 義政武田 晃楳田 祐三
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ジャーナル オープンアクセス

2004 年 4 巻 1 号 p. 29-32

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抄録
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)には大腸多発癌が好発する.このため,HNPCC の大腸癌発癌患者に対する治療法としては,一般大腸癌と同様に大腸部分切除を行った後,残存腸管の厳重なサーベイランスを行う方法と,大腸亜全摘術ないし大腸全摘術によって発癌リスクの高い腸管を予防的に切除する方法が行われてきた.HNPCC の診断方法,発癌の有無,大腸癌発生部位,年齢,耐術能,肛門括約筋機能などをもとに,いずれの治療法を選択するかは決定されるが,Amsterdam Criteria 非合致例や高齢者などでは,必ずしもその選択は容易でない.治療法のオプションの一つとして,腸管切除量が大腸部分切除と大腸亜全摘術の中間的な拡大結腸切除術を加えてもよいかもしれない.
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© 2004 The Japanese Society for Familial Tumors
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