家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集 : 家族性乳癌研究の現況
家族性乳癌の遺伝子検査に関わる問題点
酒寄 真人千葉 奈津子河原 正典白石 千子武田 元博野水 整野口 眞三郎大内 憲明竹之下 誠一石岡 千加史
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 6 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
日本人家族性乳癌におけるBRCA1 遺伝子およびBRCA2 遺伝子変異の頻度や両遺伝子におけるSNPs 情報の収集のため,われわれは,ストップコドン・アッセイとDNA シークエンス法を用いた遺伝子診断を行ってきた.その結果,60 家系65 例中11 家系11 例にタンパク切断型変異を見出し,同時に両遺伝子内に多くのSNPs を同定した.家族性腫瘍の遺伝子診断を行うにあたっては,倫理的な側面やプライバシーの保持などに十分配慮したシステムを構築し,その安全な運用に努める必要がある.また,家族性腫瘍の遺伝子診断をさらに推進していくには,採用する診断法についてのclinical validity やcost-effectiveness についての検討も重要である.さらに遺伝子診断を行う上でしばしば問題となる多型とミスセンス変異の問題を解決するには,タンパクの機能解析とそれらを簡便にモニターできる機能診断系の開発が重要である.
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© 2006 The Japanese Society for Familial Tumors
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