抄録
四国がんセンターでは入院患者の家族歴を網羅的に集積し,家族性腫瘍の可能性がある対象者を抽出し,遺伝カウンセリングにリクルートしている.家族歴聴取が実臨床において,患者および医師にどのようにとらえられているか意識調査を行った.一般ウェブ閲覧者へのアンケートにおいて,一部の人が家族歴の問診時に疑問や不快を感じたことがあり(21%),家族歴の調査に際して文書による説明,同意が必要という回答が多かった(49 %).発癌に関する遺伝子について,ほとんどの人が調べたい,ないし条件次第で調べたいと回答した.もし遺伝子診断の結果が「変異あり」であった場合,配偶者や両親や友人には半数以上が話せると回答したが,義理の両親または祖父母に話せるという回答は半数以下であった.医師へのアンケートでは,一部の患者が家族歴聴取を拒否しており,聴取する医師の一部もプライバシーに立ち入るようで罪悪感を感じたことがあると答えた.