抄録
遺伝性疾患であるHNPCC による大腸癌の臨床的特徴について解説した.HNPCC における大腸癌は,発症年齢が若い,多発大腸癌が多い,右側大腸癌が多い,予後が比較的良い,抗癌剤が効きにくい可能性がある,などの特徴がある.外科的治療では,予防的大腸摘除や大腸癌手術時の広範囲摘除の有用性は明らかとなっていない.大腸発癌予防のため,これまでの疫学的研究で得られた知見を紹介することは良いと考えるが有効と考えられる化学予防剤はまだ見つかっていない.大腸癌の早期発見のためには年に1 回の大腸内視鏡検査が推奨される.