家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
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9 巻, 2 号
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特集1:家族性腫瘍におけるチーム医療・サポート体制
  • 武田 祐子
    2009 年 9 巻 2 号 p. 37-
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 角田 ますみ, 鈴木 眞一, 小池 哲史, 中野 恵一, 大木 進司, 福島 俊彦, 野水 整, 竹之下 誠一
    2009 年 9 巻 2 号 p. 38-42
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    福島県立医科大学の器官制御外科学講座では,家族性腫瘍ネットワークの東北地方拠点施設として,「がんの遺伝外来」を行っている.多発性内分泌腫瘍症など多臓器にまたがる疾患の場合,カウンセリングや遺伝子検査のみならず,さまざまな方面での調整を図るコーディネータ的役割も必要となってくるため,遺伝カウンセリングも多角的なアプローチが要求されている.こうしたことを踏まえ,当講座では,家族性腫瘍カウンセリングの養成をうけた非医師職(看護職)が外来に加わり,医師と共に遺伝カウンセリングを行っている.非医師職が加わりチームアプローチが可能になることで,遺伝子診断の意思決定から,その後の予防・早期発見にむけて,患者の心身両面の支援体制を整えることができる.これは今後の患者のQOL 維持にも大きく影響すると考えられる.今回は福島県立医科大学医学部附属病院における「がんの遺伝外来」での遺伝カウンセリングの取り組みを紹介しつつ,遺伝外来におけるチームアプローチの重要性について述べる.
  • 大住 省三, 田所 かおり, 増田 春菜, 高市 瑞穂, 井上 実穂, 那須 淳一郎, 青儀 健二郎, 久保 義郎, ウロブレスキー 順子, ...
    2009 年 9 巻 2 号 p. 43-45
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    四国がんセンター家族性腫瘍相談室は平成12 年の設立より,着実にその体制を整えてきた.当相談室では家族性大腸癌と家族性乳癌を主たる対象疾患として,カウンセリングや診療を行ってきたが,ここでは家族性乳癌についてその取り組みを述べる.相談室の構成員は平成21 年3 月現在,医師6 名,看護師1 名,臨床心理士1 名,事務職1 名であるが,専任のものはいないためマンパワー不足に悩まされていたが,今後専任の遺伝カウンセラーが着任することで,本格的活動ができるようになると期待している.当相談室の現状とその問題点,解決策などについて述べる.
  • 川崎 優子, 権藤 延久, 佐伯 智子, 中村 富予, 竹山 育子, 石川 秀樹
    2009 年 9 巻 2 号 p. 46-52
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    患者・家族・医療者で構成されているサポートグループにおける「医療者の役割」を明確化するため,家族性大腸腺腫症患者・家族の会の会報を,役員の了解を得て内容分析を行った.10 年間のサポートグループの活動の中で医療者が果たしていた役割を分析した結果,会員のニーズに応じた医学的知識の提供方法が明らかになった.会員相互の情報交換において解決できない問題には,FAP に関する医学的知識を持つ医療者の介入が必要であった.医療者の役割は,①医学的情報理解のサポート,②自分の身体を理解するための情報提示,③生活上の留意点の提示,④適切な医療への連携,⑤セルフケア能力を引き出すためのサポート,⑥研究結果の提示の六つであった.今後は,集団対応と個別対応を使い分ける判断指標を明確化し,集団への対応部分については生活ハンドブック作成の資料として活用する予定である.
  • 村上 好恵, 矢形 寛, 小松 浩子, 有森 直子, 吉野(青木) 美紀子
    2009 年 9 巻 2 号 p. 53-56
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    近年の分子遺伝学の発展は,がんが遺伝子の病気であることがわかってくると同時に,明らかに遺伝性の様相を呈する「遺伝性腫瘍」の存在が示され,それに対する遺伝子診断が試みられるようになり,患者や家族に対して遺伝情報が提供されるようになってきた.乳がんの約5 〜10 %は家系内に乳がんが集積する家族性乳がんで,BRCA1,BRCA2 の遺伝子変異が発症に関与している.この遺伝子検査を希望した在日外国人に対する遺伝カウンセリングを行い,1)言語,2)文化的背景への配慮,3)情報資源の紹介という工夫と課題を経験したので報告する.
特集2:遺伝性大腸癌
  • 田村 和朗
    2009 年 9 巻 2 号 p. 57-
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岩間 毅夫
    2009 年 9 巻 2 号 p. 58-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性大腸癌とは遺伝的要因が主な引き金となって大腸癌を引き起こす病態のことをいう.家族性大腸腺腫症(FAP)およびLynch 症候群(またはHNPCC)はその主な疾患である.この論文では遺伝性大腸癌の臨床に関する極めて基本的なことのみを述べた.一般の癌にはない問題として,生涯,世代に渡る医療との関わりの重要性とその困難性を述べた.遺伝性腫瘍カウンセリング,患者会の必要性について解説した.
  • 石川 秀樹
    2009 年 9 巻 2 号 p. 61-63
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性疾患であるHNPCC による大腸癌の臨床的特徴について解説した.HNPCC における大腸癌は,発症年齢が若い,多発大腸癌が多い,右側大腸癌が多い,予後が比較的良い,抗癌剤が効きにくい可能性がある,などの特徴がある.外科的治療では,予防的大腸摘除や大腸癌手術時の広範囲摘除の有用性は明らかとなっていない.大腸発癌予防のため,これまでの疫学的研究で得られた知見を紹介することは良いと考えるが有効と考えられる化学予防剤はまだ見つかっていない.大腸癌の早期発見のためには年に1 回の大腸内視鏡検査が推奨される.
  • Kouji Banno, Yusuke Kobayashi, Megumi Yanokura, Arisa Kishimi, Seiji O ...
    2009 年 9 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    Some cases of endometrial cancer are associated with a familial tumor and are referred to as hereditary nonpolyposis colorectal cancer (HNPCC or Lynch syndrome). Such tumors are thought to be induced by germline mutation of the DNA mismatch repair (MMR) gene, but many aspects of the pathology of familial endometrial cancer are unclear and no effective screening method has been established. At present, about 0.5–2.0% of all cases of endometrial cancers meet the clinical diagnostic criteria for HNPCC. A recent analysis of the three MMR genes (hMLH1, hMSH2 and hMSH6) revealed germline mutations in 18 of 120 cases (15.0%) of endometrial cancer with familial accumulation of cancer or double cancer, with a frameshift mutation of the hMSH6 gene being the most common. Many cases with mutation did not meet the current clinical diagnostic criteria for HNPCC, indicating that familial endometrial cancer is often not diagnosed as HNPCC. The results suggest that the hMSH6 gene mutation may be important in carcinogenesis in endometrial cancer and germline mutations of the MMR gene may be more prevalent in cases associated with familial accumulation of cancer.
  • 菅野 康吉
    2009 年 9 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)は家系内に大腸癌,子宮体癌等の悪性腫瘍が好発する常染色体優性遺伝疾患である.全大腸癌の2 〜5%程度を占めるものと推定され,最も頻度の高い遺伝性腫瘍の一つと考えられている.HNPCC の原因はDNA 複製の際に生じた塩基配列の間違い(ミスマッチ)を修復する機能の異常であり,MSH2, MLH1 等のミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異と腫瘍組織におけるマイクロサテライト不安定性の出現が高率に認められる.HNPCC 関連腫瘍には大腸癌以外のさまざまながんが含まれることから,ミスマッチ修復遺伝子変異あるいはMSI 陽性のHNPCC は,1960 年代にHNPCC の存在を初めて報告したHenry T Lynch の名前を取ってLynch 症候群と呼ぶことが提唱されている.
  • 武田 祐子, 矢崎 久妙子
    2009 年 9 巻 2 号 p. 75-77
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
短報
  • 口羽 文, 佐伯 宣久, 坂本 裕美, 吉田 輝彦
    2009 年 9 巻 2 号 p. 78-81
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/08
    ジャーナル オープンアクセス
    罹患率が比較的高い疾患の多くは複数の遺伝素因,非遺伝要因,また,それらの複雑な組合せが原因であることが知られている.個々の遺伝子の寄与は比較的小さいため,明らかなメンデル型遺伝形式を示す疾患とは異なり,連鎖解析によるアプローチでは遺伝素因の解明は困難であった.このような疾患に対しては,ゲノム網羅的関連解析(GWAS)がより強力な手段になることが示されており,近年,多くのGWAS が行われている.本稿では我々が行った胃がん感受性遺伝子探索のためのGWAS を紹介する.この研究の結果,diffuse 型胃がんの新規感受性遺伝子としてPSCA 遺伝子を同定した.
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