2017 年 52 巻 1 号 p. 15-26
露地夏秋どりミニトマトの新栽培法である「ネット誘引無整枝栽培」(通称:ソバージュ栽培,以下,同じ)は全国的に普及し始めているものの,作業性については主枝1本仕立て栽培(以下,慣行栽培)と比較検討した報告がない.そこで本研究では,ソバージュ栽培の栽培体系の確立を目指し,ソバージュ栽培と慣行栽培の各作業工程における作業時間および作業姿勢および収量を比較した.その結果,ソバージュ栽培では,慣行栽培に比べて収穫作業以外,特に誘引および薬剤散布の作業時間を大幅に短縮できた.しかし,ソバージュ栽培は,ミニトマトの生産拡大の課題になっている収穫作業が全作業工程の90%を占め,慣行栽培に比べて顕著に高かった.ソバージュ栽培は,慣行栽培に比べて栽植密度が低いにも関わらず,単位面積当たりの収量は同等以上であり,夏季の高温強日射時の影響を受ける8~9月の出荷が可能であった.そのため,ソバージュ栽培は,栽培管理の省力化や軽作業化が図れるミニトマトの露地夏秋どりの新栽培法として期待できるものの,さらなる作業時間短縮のためには,作業時間の大半を占める収穫方法の改善が必要であると考えられた.