農作業研究
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最新号
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研究論文
  • 庄司 浩一, 安達 康弘
    2025 年60 巻4 号 p. 147-159
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2026/06/20
    ジャーナル フリー

    市販のロータリ式乗用田植機を利用して水稲不耕起移植ができるように,サイドフロートを撤去して植付形成ディスクを装着することでV字型の植溝を形成し,移植作業を安定させる方法を考案した.ディスクには市販の丸鋸刃を用い,進行方向に対してやや斜めに取付けて転動させることにより,残渣を切断しながらV字型の植溝を形成した.代かき植溝なしを対照として,不耕起でディスクの直径を165 mmないしは147 mm,ディスクの枚数を2枚ないしは1枚,ディスクなしを供試田植機の各条に設定し,不耕起土壌表面の硬度を変えて供試した.さらに植溝なしでも不耕起移植が物理的に可能なポット苗方式の田植機やクランク式田植機も試行し,植付性能や生育・収量の比較を行った.不耕起で植溝がない場合,ロータリ式では倒伏や浮き苗が生じ,ポット式やクランク式ではこれらはほぼ避けられたが,いずれも代かきの場合の精玄米収量(平均540 kg/10a)に比べて半減した.直径165 mmのディスク2枚にて作溝し植付爪の最下点を溝底に合わせた場合は,代かきの場合とほぼ同等の収量が得られた.ディスク枚数を減らしたり直径を小さくすれば,それぞれに対応して収量は2/3まで減少した.収量減少の主要因は穂数の減少であり,植溝の状態に応じた苗の活着が初期生育に大きな影響を与えていると推察された.

  • -降雨が農作業に及ぼす影響-
    朱里 勇治, 辻 博之, 今田 伸二
    2025 年60 巻4 号 p. 161-173
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2026/06/20
    ジャーナル フリー

    気象は作物の生育に限らず,農作業の実施判断にも影響を及ぼす.気象と農作業の関係を解明することは,農作業効率の向上や,営農計画の作成に有効である.本研究では,標準化され,かつ電子管理された記録である生産履歴に着目し,生産履歴集計プログラムを作成することで,農作業の網羅的な解析に着手した.生産履歴集計プログラムを用いた作業履歴の解析は,手作業による集計に比べ,集計の処理時間を短縮し,解析精度を向上させた.北海道鹿追町のバレイショ生産者における4年分の生産履歴を解析した結果,心土破砕や培土などの土壌を破砕,整形する作業は先行降雨指数,殺虫剤散布や殺菌剤散布といった防除作業は降水量と先行降雨指数の両方が作業の実施判断に影響を及ぼすことが明らかになった.降水量は当日の雨のみを反映した短期的なデータであり,作業日以前の降雨の影響を十分に反映できないため,過去の降雨により引き起こされた土壌物理性の悪化などの長期的なリスク評価には,土壌水分を反映した先行降雨指数が有効だと考えられる.以上により,本研究において検討した,降雨が農作業の実施判断に及ぼす影響は,生産履歴を用いることで作業,年次に関わらず網羅的に評価できることが示された.

研究報文
  • 稲垣 栄洋, 小林 佳大, 西川 浩二, 露﨑 浩, 楠本 良延
    2025 年60 巻4 号 p. 175-183
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2026/06/20
    ジャーナル フリー

    水田稲作における中耕除草は古くから行なわれる農作業であるが,江戸時代の農書には「中耕除草は多い方が良い」という記述が見られる.このことから,中耕除草は除草以外の効果があることが示唆され,実際に多数回の中耕除草によりイネの収量が増加したという報告もある.しかしながら,中耕除草は水田雑草を除去する効果があるため,これまでの実践例では,中耕除草の作業がイネに直接的に及ぼす影響と,除草によってイネの成育が良好になる効果を分離して考察できていなかった.そこで本研究では,水田雑草の発生のない水田やポットを用いた栽培試験によって水田雑草の影響を排除した条件で,多数回中耕除草がイネの成育と収量に及ぼす直接的な効果の検証を試みた.その結果,多数回中耕除草によるイネの収量向上は認められなかったものの,分げつ数や1株あたり穂数のばらつきが小さくなり,斉一性が高まる傾向が認められた.また,中干し後の根量を増加させ,光合成細菌の量を高める可能性も示された.伝統的に行なわれる多数回中耕除草は,多大な労力を必要とする作業であることから,省力化が求められる現代の稲作での実践は難しい.多数回中耕除草を行なう自律型ロボットの開発が今後の研究課題である.

  • 金井 源太, 好野 奈美子
    2025 年60 巻4 号 p. 185-194
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2026/06/20
    ジャーナル フリー

    ナシの病害である黒星病は,罹病落葉からの子のう発生も感染源となりうるため,対策の一つとして,落葉の分解を促進する落葉粉砕処理が推奨されている.ここでは,近年,果樹園に普及しつつある草刈ロボットを下草管理だけではなく,落葉粉砕にも用いることで,省力的なナシの管理作業体系の構築に資することを目的とした.試験区は,落葉粉砕作業を草刈ロボットにより行う草刈ロボット区,乗用草刈機を用いて行う慣行区,落葉粉砕作業を行わない無処理区とした.落葉の粉砕とそれによる分解の目安として,落葉乾物重について,草刈ロボット区,慣行区,無処理区で6回の比較を行った結果,いずれも無処理区より草刈ロボット区および慣行区のほうが軽かった.そのうち3回では無処理区と慣行区の間に有意差が認められた.慣行区と草刈ロボット区の比較では,慣行区の作業が入念であった場合は,草刈ロボット区は慣行区の3倍程度の重さがあったが,粉砕作業が簡略化された場合では同等および1.4倍に留まった.また,落葉乾物重と同様に落葉の粉砕と分解の目安として,落葉面積についても比較を行ったところ,慣行区の作業が入念な場合,慣行区は草刈ロボット区より小さい傾向であったが,慣行区の粉砕作業を簡略化した場合,慣行区のほうが大きい傾向を示す場合もあった.草刈ロボットの刈高40 mmと刈高60 mmの比較については,落葉乾物重,落葉面積ともに有意差は認められなかったが刈高60 mmよりも刈高40 mmのほうが小さい値であった.

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