農作業研究
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研究論文
  • 富井 春幸, 上野 秀人, 当真 要
    2020 年 55 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    5)の電気伝導度(EC)を測定することが一般的であるが,土壌飽和抽出液を用いて測定するECeも一部用いられている.本研究においてECe改良測定法を開発し,腐植含量とCECが低いマサ土(花崗岩母材)にNaClを添加して,ECとECeの比較や関係性を調べたところ,ECeはわずかな塩分でも増加し,その値はEC(1:5)値の19倍を示した.さらに,4段階濃度のNaClを添加したマサ土でトマトを栽培すると,塩濃度とともにトマト地上部のNa濃度が増加し,K/Na比とCa/Na比が低下した.EC(1:5)が0.6 dS/m(ECe=10.8 dS/m)で明らかな塩害症状が確認され,0.8 dS/m(ECe=20.0 dS/m)では完全に枯死したことから,マサ土ではトマトの塩害が生じやすいことが明らかになった.トマト地上部上部のNa濃度は地上部下部や根より高く,この条件では最初に塩害の影響を受けやすいと考えられた.以上のことから,マサ土では土壌飽和抽出液を用いて測定するECeの方が,鋭敏に塩濃度を検出でき,作物の塩ストレス予測に有効であることが明らかになった.

  • 富井 春幸, 上野 秀人, 当真 要
    2020 年 55 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    本研究では化学的特性の大きく異なる国内の3 土壌(黒ボク土,ジャーガル,マサ土)に塩(NaCl)を添加したときの電気伝導度やイオン溶出の変化,さらにトマト生育や無機成分の吸収に及ぼす影響を調べた.塩添加量の増加とともに土壌懸濁液の電気伝導度(EC(1:5))と土壌飽和抽出液の電気伝導度(ECe)は直線的に増加し,高い相関関係が見られた.EC(1:5)値からECe値への変換係数は,黒ボク土が7.66,ジャーガルが7.08と同程度であったが,マサ土は18.1と高い値となり,マサ土は塩害が生じ易いことが明らかになった.SEM-EDX分析により,塩添加マサ土の土壌粒子表面のNaとCl濃度の上昇とMg濃度の減少が確認され,トマト根への影響が大きいと考えられた.マサ土では,塩分添加(EC(1:5)=0.75 dS/m)により,トマト苗が枯死した.トマト生育はEC(1:5)よりもECeの基準に従って反応した.マサ土とジャーガルでは塩添加により土壌に由来するCaやMgの土壌飽和抽出液水への溶出が促進された.また,土壌飽和抽出液の無機成分の濃度や組成は,トマトが吸収した無機塩組成に大きく影響した.ジャーガルは土壌飽和抽出液のCa/Na比が高く,根のCa濃度が高かった.マサ土に比べると地上部のNa濃度が低く抑制され,CaによるNaの吸収抑制などカルシウムによる塩害緩和の可能性が示唆された.

  • 佐藤 麻衣, 田邊 大, 進藤 勇人, 中川 進平, 齋藤 雅憲, 片平 光彦
    2020 年 55 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    本報は日本海側での水田の高度利用による生産者の粗収益増加を目的に,水田転換ほ場に対する排水対策の違いが土壌物理性に与える影響と露地野菜の機械化作業体系を検討した.水田転換ほ場に明渠と弾丸暗渠を施工した試験区(B区)では土壌構造の発達が顕著となり,明渠のみを施工した試験区(A区)と比較して飽和透水係数と畑地化指標が早期に改善した.転換初年目1作めエダマメの莢重収量はA区で935 kg/10a,B区で732 kg/10aであった.転換初年目2作めキャベツの収量は3,178 kg/10aと3,684 kg/10aであった.転換2年目サトイモの収量は早どり作型で3,026 kg/10aと2,613 kg/10a,慣行作型で2,539 kg/10aと2,364 kg/10aであった.転換3年目ネギの収量は4,464 kg/10aと7,107 kg/10aであった.日本海側の水田転換ほ場では,粘土質が高く排水性が悪いほ場の場合,弾丸暗渠を施工し畑地化を促進させる必要があるが,埴壌土程度の土性を有するほ場では明渠のみの施工で対応できる可能性がある.排水対策を施した水田転換ほ場では,初年目1作めで砕土性と湿害回避に優れるアップカットロータリを用いたエダマメの耕うん同時畝立て栽培,次いで水田用ハローの利用で畝立て作業を効率化できる小畝立て栽培に適したキャベツなどの作目の導入が有効である.2年目以降は土壌物理性の改善で作土層が拡大するため,サトイモの畝立てマルチ同時移植やネギの溝切り同時側条施肥などの作目と作業技術を適用することでほ場を有効に活用できる.

研究報文
  • 肥後 昌男, 郡司 賢人, 卯木 崇光, 坂本 実由季, 立脇 祐哉, 磯部 勝孝
    2020 年 55 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    マメ科作物のヘアリーベッチは大気中の窒素を固定することで,次作物に必要な養分吸収に寄与している.このように,土壌への養分蓄積効果が高いヘアリーベッチであるが,土壌中へのリン供給面から後作トウモロコシの生育,収量性を検討した研究は少ない.そこで本研究では,冬作緑肥としてマメ科のヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth.)を栽培・すき込みした場合の後作トウモロコシのリン吸収や生育,収量を調査した.本研究の結果,後作トウモロコシ播種前土壌において,電気伝導度(EC),硝酸態窒素,酸性ホスファターゼ活性(ACP活性),アルカリホスファターゼ活性(ALP活性)でベッチ区が休閑区に比べ有意に高い値を示した.刈取調査より,トウモロコシの草丈と茎径は2017年のV6期で,LAIは2016年のV6期,茎葉乾物重はR1期でベッチ区が高くなった.地上部リン吸収量は2016年のV6期およびR1期にてベッチ区で有意に高くなる傾向がみられた.収量調査も同様に,2016年の子実重,子実粒数ともにベッチ区において高くなる傾向がみられた.これらの結果より,リン吸収,乾物生産,収量性ともにベッチ区が休閑に比べ劣るということはなく,むしろ土壌内窒素やホスファターゼ活性が休閑区に比べ高まることで,生育が改善され収量増加につながった可能性がある.ただし,2017年においてはベッチ区でリン吸収,生育および収量は高くなる傾向はみられたものの,有意差は認められなかった.このことを考慮すると,ヘアリーベッチ導入によるリン供給能については,今後さらなる調査が必要であると考えられる.

資料
  • 田口 巧, 加藤 綾夏, 元木 悟
    2020 年 55 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    アスパラガスの露地栽培における1年養成株の増収には,苗を慣行に比べて早期に定植し,株養成期間の拡大を図ることが重要である.本研究の目的は,アスパラガスの早期定植に適する植え穴の形状を明らかにすることである.そのため,5種類の形状の植え穴の温度およびそれぞれの植え穴に定植した苗の生育を比較検討した.その結果,5℃未満の遭遇時間は,ロウト形②が最も大きく,次いで慣行,ロウト形①,逆ボトル形,円筒形の順であった.生育は,逆ボトル形が他の植え穴の形状に比べて優れる傾向であった.以上より,アスパラガスの早期定植には,逆ボトル形の植え穴の形状が最も適すると考えられた.

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