水田転換畑におけるゴマの生産性を向上するため,ほ場の周囲に深さ40 cmの明きょを施工した長期輪作ほ場と水稲連作ほ場において,チゼルプラウを用いた耕深20 cmの深耕(以下,チゼル深耕)と弾丸暗きょの施工方法が排水性およびゴマの生産性に及ぼす影響を調査した.試験区として,①事前に施工した明きょと接続するよう,サブソイラで地表面から深さ35 cmに5 m間隔で弾丸暗きょを施工後,チゼル深耕する区(①深耕+弾丸接続区),②弾丸暗きょを明きょには接続しないチゼル深耕区(②深耕+弾丸未接続区),③チゼル深耕区(③深耕区),④チゼルプラウにより耕深 10 cmで浅耕する区(④浅耕区)を設けた.その結果,長期輪作ほ場では水稲連作ほ場に比べ,主に作土層の滞水時間が減少し,ゴマ収量が高まった.次に,①深耕+弾丸接続区では,他の3区と比べ,作土層の滞水時間は1/10以下となり,ゴマ収量が高まった.また,③深耕区では,④浅耕区に比べ,作土層の滞水時間が削減し,ゴマ収量が高まった.一方,②深耕+弾丸未接続区では,③深耕区と比較して,作土層の滞水時間,ゴマの生育,収量への改善効果は認められなかった.以上のことから,ゴマの収量を高めるためには作土層の排水性を向上させることが重要であり,チゼル深耕の導入や長期輪作したほ場への作付けが排水性の向上に有効であった.さらに,その効果は弾丸暗きょを明きょと接続することで大幅に高まった.
大規模畑作地域における自動操舵機能による作業能率向上を評価するために,自動操舵機能を付与した大型トラクタでの耕起作業における作業時間を測定し,手動操舵の場合(推定値)と比較した.自動操舵トラクタでは,作業機の掛け合わせ幅を狭くできたために,1つの行程での作業幅が拡大し,作業行程数の減少と作業時間が短縮された.また,枕地での旋回は,自動操舵では走行誘導により,旋回所要時間が短縮された.以上から,自動操舵では手動操舵に比べてほ場当たりの作業時間が短縮され,単位時間当たりの作業面積は手動操舵の1.1~1.3倍に拡大された.