農業の労働力不足が深刻化する中,愛知県では露地野菜や水田作など土地利用型作物において,省力化・身体的負担軽減技術の開発ニーズが大きい.株式会社ジェイテクトは愛知県との共同研究で腰を補助する農業用アシストスーツ「J-PAS Agri~®」(以下,「Agri~」)を開発した.同機は,アクティブ・サポーター型で,農作業特有の深いかがみこみやひねりに対応した機構・制御を有する.本研究ではまず,Agri~の効果を明らかにするため,腰の負担がある7つの農作業に供試した.その結果,キャベツの収穫,ハクサイの結束,イチゴの葉かき作業,水稲の育苗箱運搬,麦・大豆の明渠掘削において装着した被験者の腰の自覚疲労度が軽減された.次に,キャベツの収穫作業において60分間連続で使用したところ,作業中の心拍数は上昇するが作業量は最大9%向上し,作業直後から次日まで腰の自覚疲労度軽減を確認した.さらに,社会実装に向けた課題を明らかにするため,農業者74名にAgri~を貸与した後,アシストスーツに関するアンケートを実施した.その結果,64%の農業者がAgri~による腰の負担軽減効果を認めたが,作業の短時間化や着心地のよさについて改善の余地があり,また,期待する価格は10万円台であった.従って,普及には,腰の負担軽減だけでなく作業効率向上や着心地のよさの訴求,低廉な価格が課題と考えられた.