農作業研究
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カバークロップとしてのムギ類を利用したスイカ露地栽培
荒木 肇山下 米治伊藤 道秋福山 利範中野 和弘
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1999 年 34 巻 4 号 p. 261-268

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抄録

1993年10月にスイカ作付予定圃場の畝間にコムギとオオムギを4kg/10aの密度で播種し,1994年春スイカ定植後にムギ類を刈り倒し,麦稈マルチを形成した.これらのムギ類の刈り倒された稈の先端に着生した成熟粒より発芽が認められ,茎葉が成長してリビングマルチが形成された.麦稈マルチとリビングマルチは土壌表面へ到達する光量子を抑制し,雑草の発生を抑制した.雑草抑制の効果はオオムギに比べ,コムギの方が大きかった.1994年10月にコムギ2品種,オオムギおよびライコムギを翌年のスイカ圃場の畝間に4kg/10aの密度で播種して,1995年6月に刈り倒して,マルチ素材としての植物特性を評価した.ムギの種類により麦稈量や発生した新葉の大きさ等が異なった.コムギは細い分けつが多数発生するため密なマルチが形成された.オオムギの葉は大きく,地表面を効果的に遮光したが,リビングマルチはコムギの方が長く維持された.ライコムギでは刈り倒し後に新たな分げつ芽が発生し,スイカ果実の成長を阻害した.間作ムギ体系は稲藁を搬入して敷藁とする従来の作業体系に比べ,圃場への稲藁や麦稈の搬入が不要となり,除草作業もなくなる等,省力的な作業体系と考えられた.

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