抄録
口腔ケア・マネジメントを確立していくうえで, 肺炎リスクを疑うべき口腔の問題を明確にしておくことは必須の課題である。そこで今回, 全国19カ所の介護施設入所者172名 (男性46名, 女性126名, 平均年齢84.0歳) を対象に肺炎リスク群を選定し, それらの口腔にかかわる問題点を検討した。その結果, スクリーニングにより選別された肺炎リスク群は56名 (男性18名, 女性38名, 平均年齢84.0歳) であり, これらの者では, 要介護度が有意に高く, 開口保持, 咀嚼運動が困難やできない者が有意に多いことが示された (p<0.05) 。以上のことは, 口腔機能の低下した者で肺炎リスクが高まることを示唆しており, 歯科医療者との連携による口腔機能の評価が効果的で効率的な口腔ケア提供体制の確立には重要であることを示している。