老年歯科医学
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学会の沿革
総説
原著
  • 福本 陽香, 井上 良介, 藤原 晶子, 水谷 慎介, 柏﨑 晴彦
    2025 年40 巻2 号 p. 112-120
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/23
    ジャーナル フリー
  • 角田 衣理加, 高尾 亞由子, 岡田 彩子, 菅 武雄, 中野 雅子
    2025 年40 巻2 号 p. 121-128
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/23
    ジャーナル フリー

     高齢者の歯科訪問診療時の飛沫飛散に対し,ポータブルユニット付属口腔内バキューム(以下,バキューム)使用がどの程度の影響を及ぼすかを検討するため,ファーラー位に固定したファントムに模擬的歯科処置を行った。歯科処置は,歯ブラシによる歯面清掃,マイクロモーターによる歯面清掃,増速用マイクロモーターによる切削とし,微粒子可視化システムにより撮影を行った。飛沫量は測定エリア面積に占める飛沫面積の割合として算出し,その対数値(log10(エリア%))をKruskal-Wallis検定あるいはMann-Whitney U検定により比較した。その結果,今回行ったすべての歯科処置によって,無処置時のバックグラウンドよりも飛沫量が有意に増加した。バキューム吸引により飛沫飛散が有意に減少したのは,マイクロモーターによる歯面清掃,増速用マイクロモーターによる切削であった。また,重回帰分析では,目的変数(log10(エリア%))に対し,すべての歯科処置は正の係数,バキューム吸引は負の係数でいずれも有意であった。歯ブラシによる歯面清掃は,歯科訪問診療で頻繁に実施される処置であるが,バキューム吸引による飛沫飛散の制御が難しいことが示唆された。

     本研究により,歯科医療従事者の感染防護のためには,各処置による飛沫飛散状況に基づいて,吸引装置および個人防護具の適正使用と適切な換気に努める必要があると考えられた。

調査報告
  • 上田 貴之, 堀 綾夏, 堀部 耕広, 太田 緑, 竜 正大
    2025 年40 巻2 号 p. 129-133
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/23
    ジャーナル フリー

     口腔機能低下症と診断された患者に対しては適切な口腔機能管理を実施することが求められる。しかし,算定要件により口腔機能管理料の算定対象とならない患者が存在していると考えられる。そこで本研究は,口腔機能低下症の診断のための口腔機能検査法の組み合わせと口腔機能管理料の算定可否との関係を明らかにすることを目的とした。

     東京歯科大学水道橋病院補綴科を定期健診で訪れた65歳以上の患者で,口腔機能低下症と診断された80名を対象とした。本研究では口腔不潔を①-1:細菌カウンタ,①-2:TCI,咬合力低下を③-1:感圧フィルム,③-2:残存歯に分け,組み合わせを変えて評価した。条件ⅰ)①-1と③-1,条件ⅱ)①-2と③-2の組み合わせで,a )口腔機能低下症の割合,b )口腔機能低下症かつ,口腔機能管理料算定可能な割合を算出した。

     条件ⅰ-a(取り込み基準と同じ)とⅰ-bは100%,条件ⅱ-aは86.3%,ⅱ-bは56.3%であった。本研究より,算定要件である4つの検査をすべて実施できる歯科医療機関では,口腔機能管理料による口腔機能管理がおおむね実施できていると思われる。一方で,条件ⅱの結果から,必要な口腔機能管理の対象とならずに取りこぼされる患者がいる可能性があると考えられる。検査機器の普及の途中である現在においては,口腔機能低下症と診断されたすべての患者が必要な管理を受けることができる対応が求められる。

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