抄録
本研究では, 口腔乾燥患者に対する各種検査について口腔乾燥患者を対象に調査し, 年齢層の影響とともに各検査の関係を比較検討することを目的とした。
被験者は口腔乾燥患者37名とし, 被験者を65歳未満の群13名と65歳以上の群24名の2群に分類した。検査は, 安静時唾液, サクソンテスト, 舌粘膜における口腔水分量, RSSTの4つの方法で行った。分析は, 65歳未満の群と65歳以上の群における各検査の比較をマン·ホイットニ検定により行った。また, それぞれの検査の相関関係をスピアマンの順位相関係数の検定により分析した。
年齢による65歳未満と65歳以上の2群間では, 各検査の測定値に有意差は認められず, 安静時唾液, サクソンテスト, 口腔水分量は正常値よりも低値を示した。各検査の相関関係を分析した結果, 65歳未満の群においては各検査項目間に有意な相関関係は認められなかった。65歳以上の群においては, サクソンテストとRSST間 (r=0.44, p<0.05) に有意な正の相関関係を認めた。
口腔乾燥患者を対象に日常臨床で行われている各検査を行った結果, 年齢にかかわらず口腔乾燥を示すことが明らかとなり, 安静時唾液, サクソンテスト, 口腔水分量の測定はいずれも有用な検査方法であるといえる。またRSSTはサクソンテストと相関関係があり, 刺激唾液が少ないほど嚥下の機能低下を生じている可能性が示唆された。