抄録
予防給付における口腔機能向上加算サービスは, 平成18年4月の介護保険制度改正から実施されている。しかし, その給付実績は, 運動器機能向上と比較して低調である。本研究の目的は, 指定介護予防支援事業に従事している地域包括支援センター職員を対象に, 口腔機能向上サービスに対する意識や口腔に関するアセスメントの実態を明らかにし, 口腔機能向上サービスのプラン立案に及ぼす影響について検討することである。郵送法で無記名による自記式質問紙調査を行い, 有効回答467名を対象に解析した結果, 口腔機能向上のサービスの効果を認めている者は半数に満たず (47%), 口腔観察の実施者は低く (17~25%), 口腔観察者としての自覚をもつ者も低かった (14%)。口腔機能向上サービスのプラン立案数を促進するアセスメント項目は, 「治療の必要な歯や歯肉の観察 (p<0.001) 」, 「食物残渣や歯垢の観察 (p<0.01) 」であり, 「義歯や歯の清掃方法の確認」は, 口腔プラン件数の増加に対し負の影響を及ぼしていた (p<0.001)。口腔機能向上サービスの実施において, プランナーの影響は大きい。プランナー自身が第一次スクリーニングを担当する専門職としての自覚をもち, 口腔に関するアセスメント能力を向上させる必要がある。