高齢者の要介護状態の原因としてサルコペニア(筋肉減弱症)が注目されている。サルコペニアの一因は低栄養であり,食事摂取量と摂取食品の変化が関連している。そこで本研究は,高齢者の摂取食品の変化に与える因子を検討することで,高齢者のサルコペニア対策の一助とすることを目的として実施した。
京都府在住の地域在住高齢者155名(男性:38名,女性:117名,平均年齢:74.2±5.4歳)を対象とし,健康ケア意識や身体機能,口腔機能を評価した。また,同時に簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養摂取状況の評価を行い,その食品項目のなかから調味料,飲料などを除いた45項目の食品について最近5年間の摂取頻度変化を問い,検討を行った。
摂取頻度の減少に関与する要因間の相互作用検証のために行った共分散構造分析では,健康ケア意識が高いほど摂取頻度減少食品数が多かった。また,摂取頻度減少食品数が多いほどサルコペニアの傾向を示していた。一方で,咀嚼能力は摂取頻度減少食品数に大きな影響を与えていなかった。
高齢者においては,口腔機能の低下をみても,健康に意識しながら摂取食品を変化させ栄養状態を維持している可能性が示された。しかし,誤った健康ケア意識により栄養量が減少することで,サルコペニアのリスクとなる可能性が考えられた。