老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
原著
舌接触補助床装着前後の最大舌圧および嚥下時舌圧の変化に関する多施設共同研究
森 隆浩吉川 峰加吉田 光由菊谷 武小野 高裕津賀 一弘水口 俊介櫻井 薫
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 34 巻 1 号 p. 86-93

詳細
抄録

 目的:舌接触補助床(PAP)装着前後の舌圧の変化を明らかにすること。

 方法:全国の17施設においてPAPによる治療を行った摂食嚥下障害患者を後方視的に調査した。PAP装着前後ならびに再評価時の3回最大舌圧が測定されていたのは51例であり,これらを口腔腫瘍などの器質的障害群23例と脳血管疾患などの機能的障害群28例に分類した。PAP装着前後ならびに再評価時の最大舌圧の比較,PAP装着直後の即時的舌圧変化量と再評価時までの長期的舌圧変化量の関係を検討した。また,29例で測定されていた嚥下時舌圧の装着前後の変化についても検討した。

 結果:器質的障害群の最大舌圧は,装着前9.6±8.8 kPa,装着直後16.4±10.3 kPa,再評価時20.7±11.2 kPaと増加した(p<0.01)。また,即時的舌圧変化量と長期的舌圧変化量には強い正の相関を認めた(r=0.81,p<0.01)。機能的障害群の最大舌圧は,装着前12.1±7.0 kPa,装着直後15.5±8.0 kPa,再評価時18.7±7.7 kPaと増加しており(p<0.01),即時的舌圧変化量と長期的舌圧変化量には中等度の正の相関を認めた(r=0.51,p<0.01)。嚥下時舌圧もPAP装着前の3.0±3.5 kPaから装着直後の11.8±9.2 kPaに増加していた(p<0.01)。

 結論:最大舌圧は,PAP装着後に即時的および長期的に増加し,即時的効果が得られた者ほど長期的な効果も期待できる傾向を認めた。また,嚥下時舌圧もPAP装着により増加することが示された。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top