老年歯科医学
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調査報告
わが国の歯科大学・大学歯学部における訪問歯科診療に関する実習と附属病院における訪問歯科診療の実態
中根 綾子山口 浩平古屋 純一中川 量晴原 豪志吉見 佳那子田頭 いとゑ佐藤 裕二戸原 玄
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2020 年 35 巻 2 号 p. 150-157

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抄録

 超高齢社会において在宅医療は推進されており,歯科においては訪問歯科診療のニーズが高まっている。これらに対応できる歯科医師の育成が必要であり,歯科大学・大学歯学部におけるリカレント教育を含めた訪問歯科診療における教育の実態を明らかにすることを目的とする。

 全国の歯科大学および大学歯学部29校を対象とし,各大学に所属している日本老年歯科医学会会員にWEBアンケートによる回答を依頼した。調査項目は,1)訪問歯科診療の実施状況,2)卒前教育・歯科医師臨床研修・リカレント教育における訪問歯科診療に関する実習についての実態調査の2つとした。

 1)15校(52%)が訪問歯科診療を施設などや居宅に実施,1校(3%)が居宅のみ,7校(24%)が施設などのみ,6校(21%)が実施しておらず今後もその予定はなかった。訪問歯科診療の内容は,一般歯科診療だけではなく,摂食嚥下リハビリテーションも大きな柱となっていた。リカレント教育として,大学内外の人たちに対する訪問歯科診療についての研修を実施している大学は12校(41%)であった。

 2)訪問歯科診療に関する基礎実習や臨床実習について,卒前教育で実施している大学は26校(90%),歯科医師臨床研修では24校(83%),リカレント教育に関しては12校(41%)だった。

 卒前教育は過去に比べると増加傾向ではあるが,まだ十分とはいえない状況であり,リカレント教育もさらなる充実が必要である。

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© 2020 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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